私たちの身体にある骨。骨は普段私たちの身体で非常に重要な役割を果たしてくれています。
「骨の役割について知りたい!」「骨ってどうやってできているの?」という方に向けて、骨の働きをわかりやすく解説していきます。これを読めば身体のことを勉強するのに骨を折らずにすむかもしれません。

骨の働き
骨は身体を支える
骨は私たちの身体を、地球の重力から支えてくれています。

私たちが生きている地球には重力(ものを引き寄せる力)が存在し、地球上にあるものにはすべて地球(地面)に引っ張られるように力がかかります。骨は私たちの身体のにかかる重力を支え、立つことが出来るようにしてくれているのです。
骨は力を伝える(身体を動かす)
骨は力を各所に伝え、私たちの身体に「運動」を起こしてくれます。
骨は先の身体を支える能力を使ってものに力を伝えます。私たちが2本足で立つことが出来るのは、脚の骨が地面に向かって身体を支えるだけの力を伝えているからです。さらに力を伝える向きを変えれば私たちの身体は動きだします。骨が私たちの身体を運動させてくれるのです。身体以外のものに力を伝えることもできます。

「力を出すのは筋肉じゃないの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
確かに私たちの身体でもの動かす力を出すのは筋肉ですが、筋肉から出た力は骨に伝わります。力の伝えられた骨がまた別の骨に力を伝えたり、他のものに力が伝えたりすることで私たちの身体は動き出すのです。
骨は臓器を守る
骨は大事な臓器(ぞうき:生きるために必要な身体の装置)を覆い、守ってくれています。

骨は非常に硬い細胞で出来ており、外からある程度の力が加わってもびくともしません。その硬さで身体の中の柔らかい臓器を覆って守っています。
骨は血をつくる

骨は骨髄(こつずい)という器官で、身体中を流れる血液を新しく作りだします。
血液をつくる骨髄(赤色骨髄:せきしょくこつずい)は、全身の骨の中でも骨盤や肋骨などの扁平骨(へんぺいこつ:平たい形をしている)に豊富にあります。
骨はミネラルを蓄え、必要なときに血に送り出す

骨はカルシウムなどのミネラルを蓄え、必要な時に血中に放出します。
カルシウムで知られている働きは「骨や歯をつくる」ですが、他にも筋肉や神経の働きを助けたり、細胞が分裂したりケガで血が出たときにかさぶたをできるのを早めたりしてくれる非常に大事な成分です。
血液の中を流れるカルシウムの量が減ると、骨は蓄えていたカルシウムを血液へ流します。
骨を強くする方法
骨は運動をすると強くなる
骨は運動の刺激を受けることで太さを増すように強くなります。
骨は荷重がかかるとその刺激に対して耐えられるように、分厚く丈夫になろうとします。(ウォルフの法則‘‘正常にせよ、異常にせよ、骨はそれに加わる力に抵抗するのに最も適した構造に発達させる”)

例えば2本脚で立つと脚の骨には上半身の重さがかかります。上半身の重さを受けた脚の骨は、その重さを支えるのに最も適した骨になるように強くなっていくのです。ウォーキングをするのであればウォーキングに耐えられるように、ジャンプをするのであればジャンプの着地に耐えられるように骨は強くなっていくということです。
ある研究では週3回、2年以上運動を続けている中高生とそうでない中高生で、大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)の強度に有意な差があると報告されています。
骨は日光を浴びると強くなる
人の身体は日の光を浴びることでビタミンDを体内で作り出します。
ビタミンDは、骨の発育に必要不可欠なカルシウムの吸収を助ける働きを持っています。日の光に含まれる紫外線が皮膚に当たることでビタミンDが作られカルシウムの吸収が進み、骨が強くなるのです。

夏場は木陰で30分、冬は太陽の下で1時間を目安に日光浴をすることで体内でビタミンDが十分に生成されます。あまり長い時間紫外線を浴びると皮膚への負担が強くなります。逆に外に出ず日の光を浴びなかったり窓越しから日の光を浴びたりするだけだと、紫外線の当たる量が少なくなりビタミンD が少なくなります。
骨を強くする食事
骨をつくるもとになるカルシウム、ビタミンD、ビタミンKを含む食べ物を積極的に食べましょう。ほかにも身体の大分部の材料になるタンパク質、運動するためのエネルギー源、細胞の働きを助ける脂質などもバランスよく摂れる食事をしましょう。

骨の構造、成長のしくみ
骨は3層構造。中に骨髄。両端に関節軟骨
身体には206個の骨があり、それぞれが骨膜(こつまく)、骨質(こつしつ:緻密骨と海綿骨からなる)、骨髄の3層になっていて、外側の両端は関節軟骨に覆われています。

骨膜
骨膜は骨の表面をグルっと包んでいます。骨の組織の中では柔らかく、血管や神経が豊富にあり知覚(ちかく:ものが触れたときの情報を身体に伝える)も敏感です。
「弁慶の泣き所(べんけいのなきどころ)」として知られるすねの部分は、皮膚の内側にすぐ脛骨(けいこつ)がむき出しています。筋肉などの柔らかい組織に覆われている部位より骨(特に骨膜)に伝わる衝撃が大きいので、ぶつけると強烈に痛みがあります。
(屈強な身体をもつ弁慶に対抗するために、身体の小さかった牛若丸は持っていた固い棒状のもので弁慶のすねを強打。弁慶はその強烈な痛みに悶絶)
骨質
骨質は硬い組織で、骨の丈夫さに関わってきます。
緻密骨(ちみつこつ)、海綿骨(かいめんこつ)の2種類からなります。
緻密骨
骨の最も硬い組織で、骨細胞がバウムクーヘン状の硬い組織(骨単位:こつたんい)をつくり、それが束上に集まり層をなします。骨単位の中心部分には管になっていて(ハバース管)、中に血管、神経が通っています。
海綿骨
緻密骨の内側に骨細胞を網目状に張り巡らせているような構造(骨梁:こつりょう)になっているのが海綿骨です。
海綿骨は緻密骨に比べ軽く、弱い構造になっています。しかしその網目状の構造により網目の中を骨髄が入り込むようにして満たしたり、さらに骨内側の表面積は多くなり、カルシウムなどのミネラルを蓄えやすくしたりする役割があります。
骨髄
骨の中心部分の空洞(髄腔:ずいくう)にあるのが骨髄(こつずい)です。骨髄には赤色骨髄(せきしょくこつずい)と黄色骨髄(おうしょくこつずい)の2種類があります。
赤色骨髄と黄色骨髄
赤色骨髄は血液成分のおよそ半分を占める血球(けっきゅう:赤血球、白血球、血小板)を作ります。赤色骨髄は全身の骨にありますが、特に扁平骨である肋骨(ろっこつ)や腸骨に豊富にあります。
赤色骨髄は加齢とともに血球をつくる能力を失い、脂肪組織になってしまいます。脂肪組織に置き換わった骨髄のことを黄色骨髄といいます。
関節軟骨
関節軟骨は骨と骨のつなぎ目(特に曲げ伸ばししたりする滑膜関節:かつまくかんせつ)をつくる比較的柔らかい軟骨組織です。(硝子軟骨:がらすなんこつ)
ツルツルして弾力があるので、骨が身体を支えるときの負担をクッションのように軽減させたり、関節の曲げ伸ばしの摩擦を減らし滑らかにしたりする役割を担います。

子どもから大人の骨になるまで
子どもの骨は柔らかく、大人になるにつれて太く固くなる
ヒトの赤ちゃんはお母さんのお腹の中から外へ出てくるとき細い管(産道:さんどう)を通ります。お腹の中より狭いところを通るので身体には潰れるような圧力がかかります。圧力に対して自由にたわむことができるように赤ちゃんの骨は非常に柔らかいです。
頭蓋骨などの扁平骨は、赤ちゃんのうちは柔らかい線維のかたまり(線維性結合組織:せんいせいけつごうそしき)ですが、中で骨芽細胞が働きだしカルシウムなどの骨基質が密集して段々硬くなっていきます。(膜内骨化:まくないこつか)
頭蓋骨はいくつかの骨がつなぎ合わさって出来ていますが、子どもから大人になるにつれて柔らかいつなぎ目が硬く骨化することで丈夫になっていきます。
腕や脚などの長骨(ちょうこつ)は、赤ちゃんのうちは硝子軟骨(がらすなんこつ)という青白い骨ですが、成長につれて血管が内部に入り込み骨芽細胞が送られます。硝子軟骨は骨細胞に置き換わっていき、長く太く発達していきます。(軟骨内骨化:なんこつないこつか)
硝子軟骨が骨細胞に完全に置き換わるころには、骨の長さは成人の状態まで達します。
骨は破壊と生成を絶え間なく行っている
骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞
私たちの身体を支えている骨ですが、実は破壊と再生を絶え間なく繰り返しています。

まず骨を作り出す骨芽細胞(こつがさいぼう)がカルシウムなど栄養をもとに骨の硬い部分(骨基質:こつきしつ)を作り出します。作られた硬い部分は骨細胞(こつさいぼう)によって保たれ、骨の硬さが維持されます。しばらくすると破骨細胞(はこつさいぼう)によって古くなった骨基質は分解されます。そして骨芽細胞が新しい骨をつくるといった具合に、細胞たちが絶え間なく働くことで丈夫な骨が保たれます。
骨が弱くなる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)

高齢になってくると、骨の健康を保つ細胞の働きが悪くなります。
特に新しい骨を作り出す骨芽細胞の働きが悪くなり、骨をつくるスピードが遅くなります。破骨細胞が骨を壊すスピードに追い付けなくなり骨が少なくなってしまいます。この状況に陥るのがいわゆる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)です。
まとめ
- 骨の役割は「支える、力を伝える、内臓を守る、血を作る、ミネラルを蓄える
- 骨は運動、日光浴、食事で強くすることが出来る
- 骨は3層構造、絶え間なく新しい骨が作り出され古い骨は破壊される
以上が骨の役割、仕組みです。
参考文献


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